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頬杖日記

子どもと読んだ絵本、遊び、自分の勉強、そのほか面白い・便利と思ったものを書いています。ボストン在住。

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数覚を養ってくれる絵本「はじめてであう すうがくの絵本」

はじめてであうすうがくの絵本 安野光雅

対象年齢4歳からおとなまで

安野 光雅(著・絵)/福音館書店/1982

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今回は英語絵本ではなく、"すうがく"をテーマにした日本の絵本をご紹介します。

 

「はじめてであうすうがくの絵本」は、遊び感覚で数の感覚 (数覚)を養ってくれる絵本です。

本を開くと、見開き1ページに1〜2の問いかけ。

考え方のヒントは書いてあるものの、正解は書いてありません。

絵を通して様々な発見や創造をする楽しさを知ることに重きをおいています。

そして、対話や思考を繰り返す中で、自然と数学的概念に触れていける絵本です。

 

作者は安野 光雅さん、監修は数学者の遠山啓さん

この3冊は、もともと12冊に渡り出版されていたものを、3冊にまとめて再出版されました。

 

作者の安野光雅さんは、美術教師、出版関連の仕事を経て、文章がない絵本「ふしぎなえ」で絵本作家としてデビューしました。

豊富な知識と想像力で、ひらがな、アルファベット、歴史、世界、童話など、さまざまなテーマの絵本を執筆されています。

安野さんの生まれ故郷である島根県津和野町には安野光雅美術館があり、安野さんの作品や、世界の絵本、プラネタリウムなどを楽しめるようです。

www.all-iwami.com

 

監修の遠山啓 (ひらく)さんは、日本の数学者です。

後年は、特に数学教育に力を注がれていて、遠山さんご自身も、算数・数学をテーマにした本を数多く執筆されています。

幼児向け、学童・生徒向け、親向け、教師向けと幅広い層向けに書かれています。

 

「さんすうだいすき」シリーズは対象年齢3歳から

さんすうだいすき 全10巻

さんすうだいすき 全10巻

  • 作者:遠山 啓
  • 発売日: 2012/02/29
  • メディア: 大型本
 

新書で読める「数学入門」

数学入門〈上〉 (岩波新書)

数学入門〈上〉 (岩波新書)

  • 作者:遠山 啓
  • 発売日: 1959/11/17
  • メディア: 新書
 
数学入門〈下〉 (岩波新書 青版 396)

数学入門〈下〉 (岩波新書 青版 396)

  • 作者:遠山 啓
  • 発売日: 1960/10/20
  • メディア: 新書
 

 

 

内容

各巻には4つのテーマが盛り込まれていて、ページをめくると、テーマに沿った内容の問いが、次々に問いかけてきます。

どのページから始めることもでき、一冊の内容もたっぷりで、図鑑のように楽しめる絵本です。

 

第1巻

第1巻は、「なかまはずれ」、「ふしぎなのり」、「じゅんばん」、「せいくらべ」が掲載されています。

数学の概念で言うと、集合と条件、組み合わせ、順序数、グラフ、比較などの分野が含まれます。

例えば、「なかまはずれ」では、乗り物の絵が描かれたの中から、"なにが"、"なぜ違うのか"ということを考えるなかで、"集合と条件"に触れています。

 

第2巻

第2巻は、「ふしぎなきかい」、「くらべてかんがえる」、「てんてん・・・・・・」、「かずのだんご」、「みずをかぞえる」が掲載されています。

数学の概念で言うと、関数、比較、点、記号、抽象化、連続量などが含まれます。

最初の 「ふしぎなきかい」では、小人が魔法の機械にものを入れると、物や状態が変化して出てきます。

この機械はどんなルールを持っているのかな?別のものをいれるとどうなるかな?とかんがえる中で、"関係"を発見していきます。

 

第3巻

第3巻は、「まほうのくすり」、「きれいなさんかく」、「まよいみち」、「ひだりとみぎ」が掲載されています。

数学の概念で言うと、平面幾何、トポロジー、位相、左右あたりでしょうか。

「きれいなさんかく」では三角形を組み合わせていろんな形を作ってみたり、折り紙をしてみたり。

絵本の図形をまねて、手を動かしながら"平面幾何"に触れることができます。

 

"数学的概念"と単語だけ聞くと難しく感じますが、実際はそういった要素を意識しなくても読み進められます。

第1巻のあとがきにも書かれているとおり、この本は、身近なものを使いながら、発見や創造の喜びの楽しさや喜びを知る。それこそが本来の"すうがく"である。という姿勢で制作されています。

本当の数学は、発見の喜びをいたるところにちりばめながら、歴史はじまって以来、いまも創り続けられつある思考の第建築です。

 

絵を見ながら子どもとちょっと頭をひねってみる。

子は、わかった!できた!と発見を楽しめる。

親は、あぁ、これも数学的な説明ができるんだと再発見できる。

そんな問いがたっぷり詰まっています。

 

 

 英語版もあります

作者の安野さんは、海外での評価も高く、「アノー」と呼ばれ、たくさんの賞を受賞されています。

そこで、試しに地元の図書館でも蔵書があるか探してみたところ、ありました!

「はじめてであうすうがくの絵本」は「Anno's Math Games」というタイトルで出版されています。

これは、、探して取りにいかなければ決して手に取らなそうな表紙。。

中身は、日本語バージョンと同じ絵に、英語で文章が書かれていて同じように楽しめました。

 

 

感想

数遊びが好きな息子にと、購入したのがこの絵本でした。

親がページ内の文章を目視でざっと読んだあとは、文章は読まず、絵を見ながら考え方を誘導したり、好きに喋らせて読んでいます。

とても楽しんでいて、気に入ったページは親の後追いで真似をしてみたり、逆にページを開いて説明してくれます。

 

3歳児に一番しっくりきたのは「はじめてであうすうがくの絵本 2」でした。

第1巻は少し説明的なところが多く、第3巻はちょっと頭をひねる難しさ。

我が家では、入門としては第2巻が一番良いね〜という結論です。

 

値段もちょっと高めだし、噂だけでの購入したのでドキドキでしたが、予想を上回る質、量、内容に大満足の絵本でした。

注意点としては、絵本の構造として、正解はありません。

目の前の絵を見てどう考えるか、発想するかを大切にしています。

そのため、大人がどう理解して面白く対話できるかの力量が、聞き手の印象にも強く影響しそうです。

手にとったり、Amazonのレビューなどを見て、大人の目線からもこれは面白いと思えれば、持っていて後悔はない絵本です!

はじめてであうすうがくの絵本セット 全3巻

はじめてであうすうがくの絵本セット 全3巻

  • 作者:安野 光雅
  • 発売日: 1982/11/20
  • メディア: 単行本
 

 

 

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