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頬杖日記

子どもと読んだ絵本、遊び、自分の勉強、そのほか面白い・便利と思ったものを書いています。ボストン在住。

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アメリカで出産 | 初診から分娩前まで

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先日第2子となる娘をアメリカで出産しました。

やはり国が違えば、日本と少しずつ作法も異なります。

日本での出産とも比較しつつ、アメリカでの出産体験記まとめます。

 

妊娠したかも?電話で検診の予約をとる

妊娠したかもと思ったら、まずは自分の入っている保険でカバーされている産婦人科から、通いたい産婦人科を選びます。

医療費の高いアメリカでは、しっかり保険でカバーされている病院を選ぶのが重要!

私は保険でカバーされている病院の中から、近くて通いやすい距離にある病院を選びました。

 

電話問診

産婦人科を決めたら電話で予約を取ります。

妊娠している旨を伝えて、スケジュールの調整をお願いしました。

産婦人科に電話してから1週間後、まずは先生との電話問診がありました。

 

問診の内容は、以下の感じ。

後半はなかなかプライベートな内容にも突っ込まれます。 

  • 住所や電話番号など基本的な個人情報
  • 妊娠したと判断した理由(生理不順、妊娠検査薬の使用など)
  • 現在の健康状態や過去の妊娠や出産(流産)の履歴
  • アルコールやタバコなどの摂取
  • 同意のある妊娠だったか否か
  • 家庭内で暴力等はないか
  • 出産後の家族計画や、希望する避妊方法について

面白かったのは、一番最初の質問で「周りに誰もいないか?」と聞かれたこと。

電話に出ている女性が、第三者によって自分が意図しない返事をすることがないようにしているのですね。

 

妊娠検査の通院は日本よりちょっと遅め

この電話の後、次の通院の日も決まりました。

あまり早過ぎてもダメだからと、通院予定は問診の電話からちょうど2週間後。

予想妊娠期間は8週から9週くらいの時でした。

 

ちなみに、ボストンの病院では、電話でも通院時でも通訳のお願いもできます。

英語が不安であれば、通訳をつけられるか聞いてみるのがおすすめです。

 

 

アメリカの妊娠検査と診察

患者の情報を一通りチェック

初めての診察では、問診と身体チェックをします。

病歴を聞かれたり、指示された通りに動いてみたりと、専門用語も入りつつ細かくチェックしていくので、初診だけでも通訳サービスを使うと安心です。

血液検査、尿検査 (感染症検査)、内診もまとめてやります。

 

びっくりしたのは、内診台がなく、そのまま検査ベッドの上で内診を受けたこと。

あの台に乗ってガガガーと動かされることもなく、さささっと終わりました。

 

助産師か、医者か、の選択

日本と異なる点として、出産を助産師と医者どちらに見てもらいたいか聞かれます。

日本では、出産までの間に医者と助産師どちらにもかかるので、アメリカで突然この質問をされた時は面食らいました。

両者の違いを聞いたところ、助産師は出産を自然の現象として扱い、医者は出産を病気として扱うとのこと。

特に不安がなければ助産師で良いという雰囲気でしたので、助産師を選択しました。

多胎妊娠だったり、流産しやすいなどの不安があれば医者を選択するのもいいのかもしれません。

 

 

超音波検査は3回だけ アメリカの妊婦検診

アメリカの妊婦検診は日本より少なめ

初診以降は、定期的に妊婦検診にいきます。

日本の妊婦検診は、妊娠初期に1ヶ月に1回、妊娠24週以降に2週間に1回、妊娠36週以降には1週間に1回の頻度であります。

アメリカでは、妊娠36週になるまでは1ヶ月に1回。

これに追加して、超音波検査のための日が別に3回分組まれます。

トータルで日本よりも少し少ないです。

 

アメリカの妊婦検診の基本内容は、体重、血圧、子宮底長を計測と問診です。

日本で毎回行う妊婦糖尿病チェックのための尿検査はありません。

さらに、アメリカの検診では毎回の超音波検査はありません。

日本で頻繁に赤ちゃんの姿を見ていたのと比べると、アメリカの検診は、超音波検査の日が随分待ち遠しく感じました。

 

超音波検査などもないので、コロナ禍では検診がほとんどが電話検診になりました。

体重計と血圧計を自前で用意して測り、子宮底長は測定なし。

おかげさまで病院に行く必要がないのは楽ちんでした。

 

その他の検査

その他、妊婦期間に受けた検査は以下のとおりです。

妊娠初期: 血液検査・尿検査

妊娠中期: 血液検査・グルコース耐性検査

妊娠後期: B群溶血性レンサ球菌検査・Tdapの予防接種

 

アメリカで初体験だったのは妊婦糖尿病を調べるためのグルコース耐性検査でした。

この検査では、病院で甘い飲み物が入ったボトルを渡され、それを飲んで1時間経った上で採血を行います。

検査の結果、血糖値が規定値外の場合は、妊婦糖尿病のより詳しい検査や、食事指導を受けることになります。

 

もう一つ、アメリカで初めて受けた検査は、遺伝病の検査でした。

血液検査のオプションとして受けることができます。

対象の遺伝病は、嚢胞性線維症 (Cystic Fibrosis)と脊髄性筋萎縮症 (Spinal Muscular Atrophy)です。

調べると、いずれも白人の方で発病する遺伝型を持った方が多く、日本人で持っている確率はそれより低いそうです。

 

 

日本よりも積極的な出生前検査

染色体や重症心奇形を調べる出生前検査。

4年前の日本では、検査を希望しても少し言い出しにくい雰囲気でした

一方アメリカでは、先生から能動的にどの検査を受けるか話してきます。

www.hopkinsmedicine.org

 

血液検査

妊娠初期の超音波検査の際に、まずは血液検査による検査を提案されました。

血液検査の検査方法はMaternal blood testsとPrenatal cell-free DNA 2種類を聞かれました。

 

Maternal blood tests

日本では母体血清マーカーと呼ばれる検査です。

検査では母体の血液を採取し、マーカーとなるタンパク質*1を測定します。

この血液検査の結果と超音波検査の結果を組み合わせて、ダウン症候群等の可能性の確率を出します (コンバインド検査)。

妊娠9週から13週の間に検査をします。

 

Prenatal cell-free DNA (cfDNA)

母体の血液を採取し、中に混じっている胎児のDNAを調べる方法です。

別名NIPT (non-invasive prenatal testing) とも呼ばれます。

赤ちゃんのDNAを直接調べて、トリソミーかどうかを確認するため、Maternal blood testsに比べてより確実性の上がる検査です。

妊娠10週目以降から実施可能で、妊娠中期の超音波検査を待たずに、性別や血液型を知ることもできます。

比較的新しいためか、病院によっては提供していなかったり、保険でカバーされていない可能性があるようです。

 

超音波検査

超音波を使ったスクリーニングは、1回目の超音波検査から行いました。

アメリカでの経腹超音波検査は妊娠期間中に3回のみ。

検査は30分前後と長く、四肢、心臓、羊水の量や胎盤、トリソミーの可能性など

その週数によってみられる初見をくまなくチェックしていきます。

 

検査結果とそのリスクはその場で医師から説明されます。

私は、2回目の検査の時には、Echogenic intracardiac focusとMarginal cord insertionの所見があると診断を受けましたが、聞いたこともない症状でした。

 

Echogenic intracardiac focus 

Echogenic intracardiac focusは心臓に見える小さな明るい点です。

ダウン症候群とも関連づけられることもあるようですが、先生からは、その関連性は立証されていないと説明を受けました。

また、他の検査ですでにトリソミーの可能性は0.01%であること、いくらかの胎児には見られる所見であり、特にアジア人には多いことの説明を受け、特に心配する必要はないと言われました。

 

Marginal cord insertion 

Marginal cord insertionは通常胎盤の中央に繋がっている臍の緒が、胎盤の縁の方に繋がっている状態です。

この影響としては、栄養分がうまく送れない事による胎児の発育不全、流産、出産時の多量出血などがあります。

とはいえ、妊婦の約6%程度には見られる症状で、私も経過観察のみとなりました。

結果としては何事もなく出産を迎えました。

 

出生前診断の確定検査となる絨毛検査や羊水検査については日本と同様、上記の検査の結果を受けて、次のステップの検査となります。

出生前検査ですが、結果によっては難しい判断を迫られる可能性もあります。

検査前に、結果をどう受け取るかを夫婦で話し合っておくと良いかもしれません。

 

 

予定日まで1ヶ月 臨月期間の検診

臨月になってやっと妊婦検診を1週間に1度の頻度で通うようになります。

日本の場合、臨月には内診をして子宮口の開き具合などを確認したと思います。

アメリカでは、患者のプライベートゾーンはできる限り触らない方針です。

そのため、臨月期間になっても内診はなく、頻度が増える以外はこれまでと大きな違いはありませんでした。

 

ようやく内診で子宮口の開きを確認したのは、予定日が過ぎてからでした。

この時も、チェックしたいかを聞かれた上で検査を受け、あくまでも臨月期の内診は患者の意思次第のチェックでした。

 

臨月になってからは、GBS検査とTdapの予防接種も受けました。

GBS検査とは、B群溶血性連鎖球菌という細菌を調べる検査です。

ほとんどの場合母体に症状はなく、6分の1の母体で陽性が出るそうです。

ただ、赤ちゃんに感染した場合は敗血症や髄膜炎になる可能性があるため、陽性が出た場合は、抗生物質を点滴しながら分娩して小児への感染を防ぐことになります。

Tdapは百日咳、破傷風、ジフテリアに対する混合ワクチンです。

幼児期に受ける混合ワクチンと同じですが、アメリカでは妊婦さんも全員受けることになっています。

*1:alpha fetoprotein: AFP、free beta human chorionic gonadotropin: free beta hCG、pregnancy associated plasma protein-A: PAPP-A