対象年齢2歳〜 (米国市場基準)
Justin Richardson&Peter Parnell(著)/Henry Cole(絵)/Simon & Schuster/2005
あらすじ
ニューヨークの中心にセントラルパークと呼ばれる公園があります。
池やメリーゴーランド、冬季のスケートリンク、そして動物園もある大きな公園です。
動物園ではいろいろな動物の家族が暮らしています。
ペンギンエリアでもペンギンの家族達が暮らしていました。
ペンギン達は、繁殖時期になると女の子と男の子でペアになって家族を作ります。
でも、ロイとサイロと名付けられたペンギンのペアは他の家族と少し違いました。
その子達はどちらも男の子だったのです。
ロイとサイロは、他のペンギンのカップルと同じようにスキンシップを取り、そして他のペンギン達と同じように石で巣を作りました。
でも、2人はあるものがないと気づきます。
卵です。
ある日、ロイが卵のような石を持ってきて、巣の中心に置きました。
サイロが石の上に座り、サイロが疲れたらロイが座り、2人は順番に座り続けました。
でも、もちろん、何もおこりません。
その様子を見た飼育員のグラムザイさんはあることを思いつきます。
お世話が必要な卵を見つけ、ロイとサイロの巣に置いてやりました。
2人は、全体が温まるように卵の向きを変えながら、順番に卵を温め続けました。
そしてついにふわふわの赤ちゃんが生まれたのです!
グラムザイさんによって赤ちゃんペンギンはタンゴと名付けられ、2人のお父さんペンギンのもとすくすくと育ちました。
タンゴと2人のお父さんは、一緒に泳ぎ、一緒に眠り、周りの他の家族と同じように仲良く過ごしたのでした。
感想
実話に基づく動物の同性カップルを描いたおはなしです。
おはなしに出てくるロイ、サイロ、タンゴは実際にニューヨークのセントラルパーク動物園で飼育されていました。
同性婚、養子、同性愛を描いたこの絵本は、出版以降、アメリカでもっとも頻繁に異議が唱えられた背景を持つ絵本であり、学校や公立図書館で閲覧禁止に指定されている書籍として常に上位に入っている絵本です。
一方で、様々な家族の形を教える絵本として、数々の賞を受賞している絵本でもあります。
リベラルを自称するケンブリッジ市の図書館では、ごく自然に新しい赤ちゃんを迎える家族向けの絵本の中に混じって置いてありました笑
男女の区別もいまいち分かっていない息子にはあまりピンと来ないようでしたが、今後そういう会話をするようになった時に薦められる絵本として、ぜひ抑えておきたい絵本でした。
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