アメリカで産まれた下の子も2歳になり、日々の生活がますますアクティブになってきた矢先、私の乳がんが発覚しました。
幸い早期の発見で、乳房切除で腫瘍部は取り除き、転移もありませんでした。
現在は再発のリスクを下げるためのケモセラピーを受けています。
まさか、アメリカに来て4年の間に、出産、親の急病と看取りで病院に通い、今度は自分の乳がんで通院することになるとは、、思いもよりませんでした。
得たものもある一方、大きな喪失も経験したここ数年、こうして文章にして記録できる場を作っておいて本当によかったと思います。
ということで、乳がん闘病の記録第一弾です。
- 乳がん発覚!初診から診断が降りるまで
- 検査の嵐
- 本格的な通院スタート
- 遺伝子検査
- 手術に向けた準備 CVSでの必要品の購入と入院準備
- 手術日当日 子ども達をまかせ明朝から病院へ
- 一泊入院
- 初診から手術までのスケジュールまとめ
乳がん発覚!初診から診断が降りるまで
私が病院に行ったのは、乳頭部にできた傷が2ヶ月以上経っても治らないことがきっかけでした。
傷口は直径1 cm弱の円形に皮膚が剥がれたようになっていて、赤いですが、痛みはなく、たまに痒いという程度。
絆創膏をしてしばらく様子を見ていたのですが、いくら経っても治らず、さすがに病院に行った方が良いと思い、婦人科の予約を取りました。
初診は、通い慣れた婦人科で妊婦の際にもお世話になった先生のもとへ。
傷を見て、2ヶ月以上治らないということを伝えると、
「Oh my god!こんなの見るの初めて!痛くない?大丈夫?」
とすぐに系列病院の乳腺科に連絡をとり、その場で翌日の予約が決まりました。
次の日は、急遽シッターさんに娘を預け、分娩もしたMt. Auburn病院へ。
病状の説明と触診の後、病理検査のため組織を採取。
局部麻酔をかける前に傷口をアルコール消毒したのですが、これがすごく痛かった。。
組織採取した日はそのまま帰宅し、その約2週間後に電話で、パジェット病という珍しいタイプの乳がんであると伝えられました。
電話先の先生はどことなく声を落とした様子。
その場で1週間後に外科医の先生と予約をいれ、電話を切りました。
私のほうは、ネットで見て「最悪の診断結果はこれかな」と予想していたので、病名を聞いて、「あ、やっぱり」という感じでした。
検査の嵐
検査結果を聞いた翌日、また同じ先生から電話がかかってきました。
外科の先生に会う前に一通り検査をしましょうとのこと。
外科の先生との予約は1週間後。
その前に検査を入れ込むスピード感と柔軟さに驚きました。
電話でその週の金曜日に朝夜2回に分けて全検査を受けることに決まり、金曜日は朝から病院に出かけました。
受けた検査は以下の3つ。
- マンモグラフィー
- 超音波
- MRI
マンモと超音波はその場で少し結果の説明がありましたが、詳しくは後日担当の医師との面談で話してね。と言われて帰宅しました。
本格的な通院スタート
翌週には検査結果も出揃い、外科の先生とお会いしました。
ここからは、早くも手術に向けた通院となります。
初診からたった3週間ですごいスピード、と内心驚きました。
外科の先生の話では、前回受けた検査結果から、内部にも小さいけれど怪しい場所があるとのこと。
先生からは、年齢的にまだ若いこともあり、乳房全切除を提案されました。
私としても、再発の可能性を限りなく低くしたいので、全切除で進めることに。
外科医の先生からは乳房再建の意思も聞かれ、前向きに考えたいと伝えると、程なくして乳房再建を行う形成外科の先生との診察も始まりました。
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形成外科の先生との面談では、まずは乳房再建に関するDVDを見ました。
その後、先生と乳房再建について話し合います。
保険でカバーできるということを確認し、乳房再建もする方針で話しあいました。
乳房再建はシリコンを使うものと、自己組織を使うものがあります。
個人的には自己組織が良いと考えていましたが、先生と相談する中で、私の肉付きでは十分な自己組織が取れないこと、自己組織は手術や回復に時間がかかることなどを話し、最終的にはシリコンにすることしました。
シリコンは今後5年おき、10年おきくらいに定期的に検査をし、漏出などチェックするそうです。
シリコンにした場合に将来的なケアに漠然と不安を抱いていたのですが、定期検診があることが分かり、漠然さも解消されて、迷いなく進めることができました。
先生は、これまでの患者さんの施術例なども写真で見せてくださり、乳房切除から乳房再建までの経過の様子を具体的にイメージできました。
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こうして乳腺外科と形成外科の先生、手術までにそれぞれ3回ほど面談がありました。
その中で、処置に向けた流れやリスクの説明、同意書サイン、日程調整を進めていきます。
初診から手術の日程が決まるまでにかかった時間は7週間程度です。
遺伝子検査
話はそれますが、外科の先生の勧めで遺伝子検査も受けることに。
受けたのは、がん発症に関連があると分かっている遺伝子を全てチェックしてくれるテスト。
同じ病院内で受けて、価格は保険が効いて$100程度でした。
遺伝子検査を受けることで、がん発症や親族内での遺伝的リスクがあれば、知ることができます。
検査結果次第では、今後の定期検診のアドバイスなどもしてくれるそうです。
この遺伝子検査、もしご自分ががん家系で心配という方は、ぜひ検討してみたら良いと思います。結果をもとに今後の定期検診などが受け易くなるからです。
ただし、自分の遺伝的リスクを知っていることは、就職、結婚、出産といった人生の選択に大きく影響する可能性があります。
この点については、今回検査を受けたことでより現実味を持って考えさせられました。
知らない幸せもありますので、結果を知ることの影響を考えた上で受ける選択をしたら良いでしょう。
ちなみに私の検査結果は「既存の遺伝的リスクはなし」でした。
それでもがんになりましたので、検診でチェックすることも本当に大切です。
手術に向けた準備 CVSでの必要品の購入と入院準備
話は手術に戻り、手術前に家で準備したことをまとめておきます。
まず、病院から手術前の準備として指示が2つ出ました。
1つ目は、医療用殺菌薬 (Chlorhexidine)での身体の洗浄。
手術時の感染を防ぐためです。
手術3日前から、入浴時にこれで身体全体を洗うようにしました。
2つ目は、皮膚麻酔効果のある塗り薬 (lidocaine-prilocaine)。
こちらは手術当日病院に行く前に塗っていきます。
手術前にセンチネルリンパ節生検の準備でリンパ節の染色物質を注射針で入れるのですが、その際の痛みを和らげるためとのことです。
どちらもCVSで入手できました。
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次に入院準備ですが、準備したものはごくごく少ないものでした。
手荷物に入れたのは洗顔 / 歯磨き道具、替えの下着、筆記用具、携帯と充電器、本、折り紙くらい。
パソコンは迷いましたが、置いていきました。術後は身体の自由が効かず使う気力も湧かなそうでしたので、持っていかなくて良かったです。
洋服は、締め付けのないゆったりした衣服を用意し、病院への往復で同じ服を着ました。
入院中は支給される服で過ごし、食事は病院が用意してくれるもので十分でした。
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もう一点調整が必要なのは、退院時のお迎えです。
全身麻酔した場合、車の運転はさせてもらえず誰かお迎えが必要です。
アメリカだと、子守りで頼れる家族はおらず、我が家の場、車も持っていないので、地味に困った問題。
この時には夫が娘と一緒に病院に来てくれることになりました。
手術日当日 子ども達をまかせ明朝から病院へ
手術日当日は、朝の5時に家を出て1人で病院に向かいました。
待合室に行くと、電光板にずらっと手術の予定が。
自分の担当医の名前を見つけ、「あ、あれだな」と確認。
間も無く奥の部屋に通され、待機部屋のベッドに寝かされます。
そこで衣服を着替え、バイタルチェック、手術内容の確認、点滴に繋がれ、全身麻酔やブロック注射に関する説明と同意書サインを行いました。
途中、センチネルリンパ節生検のためのリンパ節の染色処置で、ベッドに乗ったまま別フロアに連れていかれました。
この際、また、あの激痛アルコール消毒をされましたが、朝塗ってきた麻酔軟膏のおかげで全然痛くありませんでした。
麻酔効果恐るべし。
待機部屋に戻った後は、順番が来るまでベッドで待ちます。
しばらくすると、手術室に運ばれていくのですが、緊張感のない私は、その頃には眠気に襲われていてよく覚えていません。。
後々考えると、見送りもなし、直前の恐怖や不安を抱くこともなし、なんとも味気のない、手術直前の過ごし方でした笑
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全身麻酔やブロック注射をした記憶も朧げなまま、目覚めた時には全ての手術が終わり、私の片胸はあっけなくなくなっていました。
今回手術で受けた処置は、乳房全切除と、乳房再建用のエキスパンダー設置。
エキスパンダーが入っているので、見た目は思ったよりもふっくらと残っています。
手術は合わせて4時間ほどの手術で、夫の元には、外科と形成外科の先生から、それぞれの手術の終了報告連絡が電話で来たそうです。
目覚めたのは術後待機室でしたが、全身麻酔の影響もあり、目覚めてからもまだふわふわした感覚です。
仮眠したり、携帯をいじるなどして数時間過ごした後、個室に移されてそこで一泊することになりました。
一泊入院
個室に移動したのは、もう夜の7時近くだったと思います。
こちらでの入院部屋は個室が基本のようで、個室内にはシャワーもトイレも付いています。
痛み止めのおかげで痛みは強くはないものの、麻酔の影響で移動直後はまだ1人では歩けませんでした。
やっと自力で立って歩けるようになったのは、真夜中すぎくらい。
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術後の入院期間に一番困ったのは、排尿困難でした。
全身麻酔の影響でなるようです。
本当に「どうやって排尿すればいいんだっけ?」と忘れてしまった感じ。
最初、看護師さんに付き添ってもらっていたのですが、側でずっと待たせているのも心中ざわざわしてリラックスできません。
2度ほど試してもやっぱりできず、看護師さんを呼び出すのも億劫に。。
最終的にはフラフラしながらこっそりトイレに行き、ようやく自力で排尿できました(失礼)。
トイレが併設された個室で本当によかった。
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時間が経つにつれて身体の自由はみるみる戻ってきて、翌日、日が昇る頃には問題なく歩けるようになりました。
また、昨晩感じていた吐き気や食欲不振もなくなり、朝ごはんもしっかり完食。
ベッドで帰宅後の過ごし方の注意や、自宅への訪問看護の説明を受け、お昼過ぎには夫と娘にお迎えに来てもらい、あっさり退院しました。
初診から手術までのスケジュールまとめ
闘病記第一弾はひとまずここまで。
最後に、ここまでのスケジュールを時系列でまとめました。
乳がんの診断が出てからは、次々と通院が差し込まれ、あれこれ考える前に手術まで一気に進みました。
仕事はしていないものの、病院に行くためには子ども達のことを見てくれる人が必要で、夫とベビーシッターさんのサポート無くしてはここまでこれませんでした。
夫、子ども達、手を差し伸べてくれた友人達には大変感謝です。
今後は、術後の回復、乳房再建、ケモとかつら探し、費用のことなど折を見てまた書きたいと思います。
病院通いのスケジュール 英語での電話や問診もずいぶん鍛えられました
初診からの日数 | 受診内容 (電)は電話連絡 |
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D1 | 婦人科で初診 |
D2 | 乳腺外科で初診 病理検査用に組織採取。 |
D15 | (電)病理検査の結果連絡 パジェット病の診断 |
D16 | (電)エコー、マンモ、MRIを予約 |
D20 | エコー、マンモ、MRI検査 |
D23 | 外科の先生と面談検査 - 乳がん治療として手術が必要 - 乳房保存型 / 乳房切除、再建希望の有無など - 遺伝子検査と針生検の提案 |
D28 | がん関連遺伝子検査 - 親族の病歴などを共有の後、検査キットで血液採取 |
D35 | 形成外科の先生と面談 - 再建についてのDVD鑑賞 - 乳房再建についての説明 - 実際の施工写真を見ながら経過を説明してくれました |
D36 | マンモトーム生検 ベッドにうつ伏せになり組織採取 待ち時間含め2時間の長丁場 |
D38 | (電)遺伝子検査の第一報 乳がんに関連する遺伝子の検査結果を受け取る |
D41 | (電)マンモトーム生検の結果連絡 DCISの診断 |
D42 | 形成外科の先生と面談 同意書サイン |
D48 | 乳腺外科の先生と面談 同意書サインと手術に向けた説明 CVSで物品購入 |
D65 | (電)遺伝子検査の報告 全てのがん関連遺伝子の検査結果を受け取る |
D70 | 手術 |
D71 | 退院 |