対象年齢5歳〜 (米国市場基準)
Mac Barnett(著)/Jon Klassen(絵)/Candlewick/2018
内容
これはシカクさん。
そしてこれは、シカクさんの秘密の洞窟。
シカクさんは、底からブロックを運び出して、丘の上に積み上げています。
ある日、シカクさんがいつもの仕事をしていると、マルさんがやってきました。
「シカクさん!凄いじゃない。君が彫刻家なんて知らなかった!」
「あぁ・・・彫刻家って?」
「彫刻家はブロックを削ってアートにするんだよ。この彫刻とっても素晴らしいじゃない。あなたにそっくり!!」
シカクさんはいまいち釈然もしないながらも、マルさんに合わせます。
「じゃぁ、ワタシも作ってよ。明日また見にくるから。またね天才君!」
そういうとマルさんは、シカクさんが何か言おうとする前に行ってしまいました。
「なんとまぁ。明日までにこのブロックを丸に見えるようにしなきゃいけない。」
シカクさんはブロックを削り始めますが、ブロックは醜く砕けるばかり。
雨も降り始めましたが、シカクさんはブロックを削り続けます。
ついに全部のブロックを削ってしまいました。
周りには小石が転がり、何も残っていません。
「ああぁ。完璧な丸と正反対のものになっちゃった。どうしようか考えなきゃ。」
そう言いながら、シカクさんはいつの間にか眠ってしまいます。
次の日、マルさんがやってきました。
「終わったかい?」とマルさん。
「終わったよ。」シカクさんは呟きます。
「わーお!美しくて、魅惑的で、完璧だ!!」
マルさんは、小石で囲まれた水溜りに映る自分の姿を見て言いました。
「君は天才だ!」
でも本当にそうかな?
感想
君は天才だ!と一方的に言われてお願いまでされてしまったシカクさん。
頑張った結果思った通りにはいかなかったものの、偶然も味方し、マルさんを喜ばせることができました。
抽象的な絵の絵本は、想像力を掻き立ててくれそうでついつい手にとってしまいます。
息子もまんまと気に入り、読了後は、早速積み木で見立てて遊んでいました。
『偶然が成果につながる』で思い出すのは、GFPの発見でノーベル化学賞を受賞された下村さんです。
下村さんは、実験後の排水を流しに捨てた際に、偶然発光のメカニズム解明に近づく発見をされました。
実験したところ、抽出溶液を酸性(pH4)にすると光らなくなることが判明。ようやく打開策を見つけて溶液を流しに捨てた瞬間、「流しの中がバーッと爆発的に青く光った」。海水中のカルシウムイオンと反応して強く光ったのだ。
この物質はオワンクラゲの学名にちなんで「イクオリン」と命名。その後も毎年夏、家族総出で5万匹以上のクラゲを捕り続け、17年かけてその発光メカニズムを解明した。取ったクラゲの総数は85万匹!そのおかげで、付近の沿岸からはクラゲが一匹もいなくなったといわれる。
この時の実験の副産物で取ったのが、後のノーベル化学賞受賞に繋がるGFPです。
偶然も大切ですが、その偶然をちゃんと拾い上げ後に繋げられることが大切ということを教えてくれる好きなエピソードです。
毎年家族総出でクラゲを捕り続けたというのもとてもほっこりします。
この本のお勧め朗読動画
Square by Mac Barnett - Read Aloud by Heather's Story Time Corner
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