対象年齢3歳〜 (米国市場基準)
Leo Lionni/Dragonfly Books/1973
内容
ある牧草地の古い石垣の中、納屋や穀物庫から遠くないところに、おしゃべりな野ネズミの家族が住んでいました。
ところがある日、農家の一家が引っ越してしまい、納屋も穀物庫も空っぽになってしまいます。
野ネズミの一家は、間も無く迎えるであろう冬のため、みんなでせっせと働き始めました。 ー ただひとり、フレドリックを除いては。
他の野ネズミ達がとうもろこしを運びながら話しかけます。
「フレドリック、なんで働かないの?」
「ちゃんと働いてるよ。寒い冬の日のために太陽光を集めているんだ」
他の野ネズミ達が木の実を運びながら話しかけます。
「フレドリック、なんで働かないの?」
「灰色な雪景色に備えて、色を集めているんだ」と牧草地を眺めながらフレドリックは答えます。
フレドリックが半分寝ているような姿を見て、他の野ネズミ達は恨めしげに話しかけます。
「フレドリック、夢でも見ているの?」
「違うよ。言葉を集めているんだ。長い長い冬の間に話すことがなくならないように」
寒い日が続くようになり、初雪が降る頃、野ネズミ達は石の中の隠れ家へ入り込みました。
豊富な食事と会話で最初こそ幸せに過ごしていた野ネズミ達ですが、徐々にかじるものも話す気力もなくなってきました。
野ネズミ達はふと思い出し、フレドリックに「君の話を聞かせてよ」と尋ねました。
フレドリックは他の野ネズミに目を閉じるよう促し、そして、話し始めました。
煌く太陽、カラフルな草木。フレドリックが話すと、野ネズミ達はその暖かさや光景をしっかり感じるのです。
集めた言葉はどうでしょう?
フレドリックは、4匹の野ネズミについて語りました。4つの季節ごとのネズミの話を。
「フレドリック、君は本当に詩人だね!」ネズミ達は拍手をして言いました。
「そうだよ」フレドリックは赤くなり、恥ずかしそうにしながら答えました。
感想
フレドリックはこんな適当な理由でサボっていていいのかしらと思う冒頭。
でも後半は、そのフレドリックが、他の野ネズミ達の心を温め、豊かな心にさせてくれます。
働くことももちろん大事ですが、自然を感じ、発し、共有することの大切さ、そして、言葉のパワーを感じさせてくれる絵本でした。
この本のお勧め朗読動画
Frederick | A little story about doing your own thing
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