対象年齢4歳〜 (米国市場基準)
Zara Gonzalez Hoang/Dial Books/2020
内容
Renはエル ユンケのはずれの、白い小さな家に住んでいる男の子です。
Renの家は豊かな自然に囲まれていて、毎日、ドラゴンや、妖精、ユニコーン達と遊んで過ごしていました。
想像が現実になる無限の可能性を秘めた土地。そこがRenの家でした。
ある日、街へ引っ越すまでは。
街に住み始めて、Renの周りはレンガやセメント、車の騒音、たくさんの人に埋め尽くされてしまいました。
そこには、魔法や自然が入り込む余地はありません。
Renは孤独感に包まれます。
AvaはRenの住むアパートの上の階に住む女の子です。
Avaはこの街で生まれ、彼女の住むアパートや街が大好きです。
彼女にとってそこは、常に変化があり、人々は終わりのないパレードをし、いつも楽しいことがあり、そして常にそれを共有する人がいる場所でした。
そんなAvaがRenを見つけ、話しかけました。
Renがここに馴染めないと聞くと、この街がいかに色と音に溢れているか見せるためRenを街へと連れ出しました。
でも、Renの目に見えるものは全て灰色、音はやかましくしかありません。
「ここには、どんな魔法も自然もない。全てが見た目のままの通り」
「そんなことないわ。街の音も色も感じなかったの?」
Renは疲れ切って、プイっと部屋に戻ってしまいました。
かつてない孤独の波がRenを襲います。
Renが窓の外を見ると、Avaが無限の可能性にウキウキと歩いていました。
かつてのRenがそうであったように。
「どうしてAvaにはあれができるんだろう。どうやるか教えてもらえるかな」
Renは次にAvaに会ったときに先に帰ったことを謝り、そしてもう一度一緒に話しました。
Renの昔の話を聞いたAvaは、Renに何が欠けているか分かりました。
もう一度Renに、今度はアパート内のいろいろな場所を案内します。
2人がアパートの屋上に出たとき、
この時はRenにも、いきいきとした美しい街が見えるようになりました。
感想
色彩豊かな美しい絵の絵本で、移住、友情がテーマになっています。
自然豊かな場所で育ったRenは、灰色ばかりの街にげんなりしますが、Avaのおかげで街の美しさに気づいていきます。
お話には、ユニコーンが出たり、やたら虹色だったりと、最初は空想の世界なのかな?と思いましたが、何度も読んでいると、子どもの目に映る世界はもしかしてこんなだったかもしれないとちょっとワクワクしてきます。
小さい頃の視覚の記憶って、なんでもないものがとてつもなく大きく見えたり、すごく小さな部分の色をよく覚えていたりしますよね。
Avaが分かったRenに欠けていたものは、新しい場所、友達への馴染みだったのかな?
移住をきっかけに心細くなっている子どもに寄り添ってあげたくもなる本でした。
この本のお勧め朗読動画
著者のZaraさんによる朗読です。
A New Kind of Wild - Read Aloud With Author Zara Gonzalez Hoang | Brightly Storytime Together
関連記事
1,000 Books Before Kindergarten - 頬杖日記